In seaside,so said. プレイログ

*創作キャラを使ってソロジャーナルで遊んだプレイログです。たまに増えます。

『In seaside,so said. 』

NAME  井上空花

AGE  21

JOB 占い師バイト

EVENT  トラブルの対応

BASE  旅館

TIME ZONE  虹が出ている

 

【1日目】

友達がほしいな、と考えていた。友達…

今まで生きてきて、友達とはっきり呼べる存在はいなかったと思う。結くんとモッチーは、友達とは違うような気がするし。

 

今日は海辺でゴミを拾った。

わたしみたいに空っぽの、空瓶だった。

それから、ロケットペンダント。誰かの大切なものかもしれないと思ったけど、写真は入っていなかった。よかったぁ。

それから…リュウグウノツカイもあった。しなびてカラカラになっていたけど、なんだかかわいい。

さすがに大きくて持って帰れなかった。無理だなぁ。

 

バイトの人間関係でトラブル続きだったから、癒された。

こういうとき友達がいれぱ、ぱーっと話して楽になれるんだろうな。

 

海を振り返ったら虹が出ていた。キレイだった。

 

【2日目】

「赤ちゃんみたい」と言われたことがある。「何でもおもちゃみたいに思ってるんでしょ」って。そんなつもりはないんだけど…。

知らず知らず、他人を振り回してしまってるのかなぁ。

 

海辺に変な形の流木と、大きな鉄のかたまりが流れ着いていた。

かたまりはわたしの背丈より大きくて、よーく見ると錆びたドアがついていた。

…もしかして、中に乗り込むと別の時代に飛べるタイムマシンだったりして。まさかね。

近くにタイヤも落ちてたけど…、関係ないよね?

 

【3日目】

疲れた日は海に来たくなる。静かな波音が聞きたくなる。

今日は占いで、激しいお客さんが来た。

…独占欲の強い愛って、本当は愛じゃないと思う。相手を思い通りにしたいんだって。それは無理だよね。

誰も、誰かを、思い通りになんてできないよ。

 

ため息をついて空を見上げたら、そこには青白い満月が浮かんでいた。足元の小さな白い貝を照らしている。

わたしはその貝をポケットにしまった。

なんだか満月を持って帰れるような気がして…。

 

帰りに見つけた手持ち花火の燃えカスは、旅館のゴミ箱に捨てておいた。

 

NAME  橋本結

AGE  20

JOB 大学2年生

EVENT  大きな出費をする

BASE  旅館

TIME ZONE  風が吹いている

 

【1日目】

冬の海は風が冷たい。マフラーを巻き直しながら、僕は歩いた。

僕らがしばらく宿泊するのは、アパートからバスで30分ほどの小さな旅館だ。

「たまには気分転換に」と企画したのは先輩だった。「そんなに離れてないけど、海も見えるし小旅行みたい」そう言って笑う彼女に、僕の胸は音を立てて跳ねた。

先輩のそういうところが好きだ。思い立ったら飛び出していくところ。

 

半透明のシーグラスを拾った。これはあとで先輩にあげよう。

なぜか落ちていたロケットペンダントは、中を見ずにそのまま置いてきた。誰かの大切なもののような気がしたから。

海辺でしばらく、夕日を見ていた。太陽はゆっくり沈んでいって、最後に真っ暗闇になった。

 

【2日目】

あたたかくなったら、先輩と夕陽さんと3人で旅行に行くことになっている。

じゃんけんに負けた僕のおごりで、旅に出ると決まったのだ。

正直、学生バイト(…といっても、バーチャルライバーとしての収入も少しはあるけど)の身としては大きな出費になる。

今のうちから、きちんと節約しておかないと。でも、今からすごく楽しみにしている。

 

遠くの方に、巨大な造船が停泊していた。せっかくだから写真を1枚。

珊瑚のかけらも拾った。…これも先輩にあげよう。

困ったのがカニだ。かわいいと思って拾い上げたものの、僕はちゃんとした飼い方を知らない。旅館に戻って慌てて夕陽さんに調べてもらった。

 

【3日目】

今日は波打ち際を、先輩と2人きりで歩いた。はしゃいでいる先輩はかわいいと思った。

僕のほうが、大人になった気分だ。

 

ずんずん歩いていった先に、巨大な廃墟を見つけた。たくさんの海の家…にしては広すぎる。海辺に遊園地か何かがあったのかもしれない。

破れた浮き輪と、手紙の入ったメッセージボトルが落ちていた。

手紙には「I was here from Australia」と一言。海外から流れ着いた?だとしたらすごい。

帰り際、ちょうどまた夕焼けが見れた。

燃えるような明るい赤に、先輩が「モッチーみたい」と笑った。少しだけ苦しくなった、ような気がした。

 

NAME  望月夕陽

AGE  22

JOB  ゲーム実況者

EVENT  大掃除

BASE  旅館

TIME ZONE  穏やかな晴れ

 

【1日目】

こんなに何もせずに過ごすなんて、いつぶりだろう。

くーちゃんの提案に乗ってみたものの、「何もしない」とかつまらないと思っていた。とんでもない。何もしないって、こんなに楽しかったっけ。

 

きれいな鉱石を発見した。くーちゃんにあげよう。

浜辺のずっと向こうに広大な廃墟が見えた。錆びた鐘もある。海を臨む教会でもあったのかもしれない、と思った。

足元に、指輪がコロンと落ちていた。

内側にイニシャルらしきものはなく、石もない至ってシンプルな指輪だった。これはおむすびくんに見せてからかってやろう。

 

【2日目】

ひとりぼっちは得意なほうだと思ってた。人なら周りにたくさんいる。何なら俺は、多くの人に好かれるタイプだと思う。

なのになんで今さら。

…寂しい。

くーちゃんとおむすびくんの関係を見ていると、時々ひどくうらやましい。

 

空瓶が転がっていた。そういえばくーちゃんも拾ったって言ってたっけな。自分に似てるって。

そんなことないって言ったって、俺の言葉じゃ届かないんだろうな。

あとは、鳥の羽も拾った。青い鳥の羽は縁起がいい気がする。海水で少し砂を落として、持ち帰ることにした。

 

帰り際、突然の花火が上がった。こんな寒い時期に、誰が打ち上げたんだろう。

 

【3日目】

今日も海を歩く。元カノのことを思い出していた。

よくある別れ方をした。仕事と私、どっちが大事なの?ってヤツ。自分が言われるとは思ってなかった。

後悔はない。それでも少し、人が怖くなった。世の中には、人生をかけて恋をする人種がいる。それは俺にとってはすごく重たく感じた。

できればこれからも、あんまり関わりたくないものだ。

あれからずいぶん物を捨てたのも、身軽になりたかったからだ。

 

また鉱石を拾った。こっちはおむすびくんにあげよう。

破れて色あせた写真も落ちていた。家族写真…だと思う。かなり古い。

拾わずに、目立つところに置いた。探している人がいるかもしれない。

 

…波音を聞いていたら、くーちゃんとおむすびくんがやって来た。相変わらず仲がいい。「もう付き合っちゃえよ」と思う。思うんだけど、言ってやらない。言えない。

俺にもプライドってもんがある。

大きく手を振るくーちゃんに向かって、今来た浜辺をゆっくりと踏みしめながら歩いた。